JLCPCB Tools の機能
<!-- markdown-mode-on -->
# **概要**
KiCAD JLCPCB toolsは以下の作業をKiCAD内で完結させることができます。
* Assembly Parts Libraryのパーツ検索
* 各部品のBOMファイル、POSファイルへのエクスポート要否の選択
* 部品の回転方向の補正
---
**JLCPCB Tools の「Assign LCSC number」画面では
「容量(uF / nF)」で素直に絞り込むことはほぼできません。
基本は「品番(MPN)ベースで判断する」設計です。**
---
残念ながら、部品の検索機能は使い勝手が良くありません。そこで、代替案を説明します。
<a name="more"></a>
---
## 🛠 JLCPCB Tools:リソース集と主要機能のまとめ
### 1. 信頼できるリファレンス(日本語・英語)
プラグインの導入から具体的な操作まで、目的別に参照すべきリンク集です。
* **機能概要を知りたい(日本語)**
* [JLCPCB Tools の導入とメリット](https://burariweb.info/electronic-work/jlcpcb-tools-introduction.html)
* 「なぜこのツールを使うのか」を解説。
* Gerber、BOM、CPL(位置データ)の自動生成に関する概要。
* **具体的な操作手順を知りたい(日本語)**
* [KiCadにJLCPCB向けプラグインを入れて使ってみる](https://t-techlab.com/2023/05/22/kicad%E3%81%ABjlcpcb%E5%90%91%E3%81%91%E3%83%97%E3%83%A9%E3%82%B0%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%92%E5%85%A5%E3%82%8C%E3%81%A6%E4%BD%BF%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%BF%E3%82%8B/)
* 導入方法から部品の検索、LCSC番号の割り当てまでをステップバイステップで解説。
* **最新の仕様・全機能を確認したい(英語公式)**
* [GitHub: Bouni / kicad-jlcpcb-tools](https://github.com/Bouni/kicad-jlcpcb-tools)
* 開発元によるドキュメント。
* 最新のアップデート内容や、詳細な機能仕様が網羅されています。
---
### 2. JLCPCB Tools が解決する「3つの課題」
このツールを導入することで、手作業によるミスが大幅に削減されます。
* **課題①:データ形式の不整合**
* **解決:** JLCPCBが指定するフォーマット(列名や単位)でBOMやCPLを自動出力。
* **課題②:部品探しの手間**
* **解決:** ツール内からLCSCの巨大な部品データベースに直接アクセス。
* **付加価値:** 在庫状況や「Basic(基本)」「Extended(拡張)」の区分もリアルタイムで確認可能。
* **課題③:回路図と基板の同期不足**
* **解決:** 基板エディタ側で決定した部品番号を、ワンクリックで回路図プロパティへ書き戻し(Back Annotate)。
---
### 3. 右側ボタン機能の一覧表
操作の核となるツールバーの役割です。
<style>
table {
border-collapse: collapse;
}
th {
border: solid 1px #666666;
color: #000000;
background-color: #ff9999;
}
td {
border: solid 1px #666666;
color: #000000;
background-color: #ffffff;
}
</style>
<table>
<thead>
<tr>
<th>カテゴリ</th>
<th>ボタン名</th>
<th>主な役割</th>
</tr>
</thead>
<tbody>
<tr>
<th rowspan="3"><strong>部品割当<br>Mapping</strong></th>
<td><strong>Assign LCSC number</strong></td>
<td>LCSC部品ライブラリから特定の部品を紐付け</td>
</tr>
<tr>
<td><strong>Remove LCSC number</strong></td>
<td>割り当て済みの番号を解除</td>
</tr>
<tr>
<td><strong>Select alike parts</strong></td>
<td>同じ値・形状の部品をまとめて選択(効率化の要)</td>
</tr>
<tr>
<th rowspan="2"><strong>出力制御</strong></th>
<td><strong>Toggle BOM / POS</strong></td>
<td>実装対象にするかどうかの切り替え</td>
</tr>
<tr>
<td><strong>Part details</strong></td>
<td>在庫・価格・定格の詳細情報を確認</td>
</tr>
<tr>
<th rowspan="2"><strong>同期・生成</strong></th>
<td><strong>Export to schematic</strong></td>
<td>基板側の情報を回路図に反映</td>
</tr>
<tr>
<td><strong>Generate</strong></td>
<td>製造用ファイルの最終書き出し(Gerber / BOM / CPL)</td>
</tr>
<tr>
<th><strong>メンテ</strong></th>
<td><strong>Download</strong></td>
<td>最新のLCSC部品データベースを同期</td>
</tr>
</tbody>
</table>
---
### 💡 アドバイス:作業効率を最大化する「黄金律」
1. まず **Select alike parts** で全数選択。
2. 次に **Assign LCSC number** で一括割当。
3. 最後に **Export to schematic** で回路図を最新にする。
---
## KiCad JLCPCB Tools:右側ツールバー機能リファレンス
このプラグインの目的は、「**KiCad上の汎用部品」を「JLCPCBの実在庫(LCSC部品)」に紐付け、発注データを生成すること**です。
### 1. 部品の紐付け(マッピング)
設計した部品に、JLCPCBで実装するための部品番号(Cxxxx)を割り当てます。
* **Assign LCSC number**
* **役割:** 選択した部品にLCSCパート番号を割り当てる(核となる機能)。
* **動作:** 検索画面から部品を選び、BOM情報として「LCSC番号」「パッケージ」「属性(Basic/Extended)」を紐付けます。
* **Select alike parts**
* **役割:** 同じ値・フットプリントの部品を一括選択。
* **コツ:** 1つ選んでこれを押せば、同じ抵抗やコンデンサを一気にマッピングできるため、**作業効率に直結**します。
* **Remove LCSC number**
* **役割:** 割り当てた番号の削除。
### 2. 実装・出力のコントロール
「部品は載せるが実装はしない」「BOMには載せない」といった制御を行います。
* **Toggle BOM / POS**
* **役割:** BOM(部品リスト)とPOS(実装位置データ)への出力有無を切り替え。
* **使い分け:**
* **両方ON:** 通常の実装部品。
* **BOMのみON:** 基板と一緒に届けてほしいが、実装は自分でやる部品(コネクタ等)。
* **両方OFF:** 取付穴やロゴなど、データ上だけの存在。
* **Part details**
* **役割:** 選択部品の**在庫数や価格、定格**を確認。
* **重要:** 在庫切れの部品を選んでいるとエラーになるため、注文前の最終チェックに使います。
### 3. データの同期と保存
作業内容をプロジェクトに定着させます。
* **Save mappings**
* **役割:** 編集内容をプロジェクトに保存。**生成前に必ずクリック。**
* **Export to schematic**
* **役割:** 割り当てたLCSC番号を、**回路図(.kicad_sch)側のプロパティに書き戻す。**
* **メリット:** これを行うことで、回路図と基板のデータ不整合を防げます。
**注記**
Kicad部品に割り当てた**LCSC番号はこのプロジェクト(書き戻した回路図)だけに有効**です。別のプロジェクトで部品に割り当てられたLCSC番号を使いたい時には、部品を回路図からコピペすると使えます。
### 4. 成果物の出力と設定
* **Generate**
* **役割:** JLCPCBにアップロードする「3点セット(Gerber / BOM / POS)」をワンクリックで一括生成。
* **Download**
* **役割:** LCSCの部品データベースを最新の状態に更新。
* **Settings**
* **役割:** 出力ファイルの単位(mm/inch)や、古いKiCadバージョンとの互換設定。
---
### 💡 迷わないための最短フロー
1. **Select alike parts** で同じ部品をまとめて掴む。
2. **Assign LCSC number** でLCSC番号を割り当てる。
3. **Part details** で在庫があるか確認。
4. **Save mappings** で保存し、**Export to schematic** で回路図に反映。
5. **Generate** で発注用データを出力!
---
## 🛠 プランA: JLCPCB PCBA 効率化:外部検索とLCSC部品の適用
KiCad標準機能やLCSCプラグインの貧弱な検索機能に頼らず、外部のデータベースを活用するLCSC部品の適用ワークフローを示します。
### 1. 外部データベースによる検索
プラグイン内の検索やLCSC公式サイトは、フィルタリングが直感的ではありません。そこで、「**JLCPCB Economic Parts**」を活用します。
* **[JLCPCB Basic/Preferred Extended Parts](https://lrks.github.io/jlcpcb-economic-parts/) の活用**
* **利点:** 「Basic(基本部品)」か「Extended(拡張部品)」かが一目で判別でき、フィルタリングが非常に高速です。
* **手順:**
1. このサイトで必要な定数(例:10kΩ, 0603)を検索。
2. 在庫が豊富で「Basic」または「Preferred Extended」に分類されている部品の <b>LCSC番号(Cxxxxx)</b>をコピーします。
### 2. JLCPCB Tools へのLCSC品番の適用
コピーしたLCSC番号をプラグインに適用します。
* **手順:**
1. PCB画面から **JLCPCB Tools** を起動。
2. `Select alike parts` で同一部品(例:すべての10kΩ抵抗)を一括選択。
3. `Assign LCSC number` を開き、先ほどコピーしたLCSC番号を貼り付けて確定。
* **ポイント:** ツールの検索機能は使わず、単なる「番号の入力画面」として利用します。
### 3. **Export to Schematic**による回路図への反映(重要)
ここがこのワークフローの核心です。PCB側で行った苦労を、回路図データに永続化させます。
* **機能の正体:**
* `Export to Schematic` を実行すると、PCB側でマッピングしたLCSC番号が、**回路図(.kicad_sch)内の各シンボルのプロパティ(Field)へ自動的に書き戻されます。**
* **この操作が「便利」な真の理由:**
* **不整合の解消:** 「基板ではC104にしたけど、回路図上はどうだったっけ?」という不安が消えます。
* **資産化:** 次回、回路図をコピーして別の基板を作る際、すでにLCSC番号がプロパティに埋め込まれているため、マッピング作業が**ゼロ**になります。
### 4. 最終生成:Save Mapping と Generate
仕上げにデータを固定します。
* **Save mapping:**
* プラグイン内の内部データを保存し、次回の基板修正時もマッピングが維持されるようにします。
* **Generate:**
* 完成した「Gerber / BOM / POS」を出力し、そのままJLCPCBへアップロードします。
---
### 📈 このワークフローのメリット(まとめ)
| 項目 | 従来のやり方 | このワークフロー |
| --- | --- | --- |
| **部品選定** | ツールの重い検索画面で苦労する | 外部爆速サイトでサクッと特定 |
| **マッピング** | 毎回基板ごとにやり直し | 回路図への逆書き込みで**恒久化** |
| **コスト管理** | 発注直前までBasicか不明 | 選定段階でBasicを狙い撃ち |
| **整合性** | 回路図と基板がバラバラ | `Export` 機能で完全に一致 |
---
## 🛠 プランB: JLCPCB BOM TOOL を活用した一括選定ワークフロー
KiCadから出力したBOMを直接JLCPCBのシステムに読み込ませ、AI(自動マッチング)に部品を選定させる効率的な手法です。
### 1. 運用手順
* **KiCad:BOMの書き出し**
* 回路図エディタの「部品表を生成」からCSVを出力します。
* **注意点:** 定数(Value)とフットプリントが正しく入力されている必要があります。
* **JLCPCB BOM TOOLへアップロード**
* [JLCPCB BOM TOOL](https://jlcpcb.com/parts/bom-tool/) にCSVをアップロードします。
* ツールが「定数+パッケージ」から最適な **Cxxxx番号(LCSC品番)** を自動提案してくれます。
* **結果の確認と選定**
* 提案された部品が **Basic / Extended** のどちらかを確認します(画像参照)。
* 気に入らない部品があれば、その場で別の在庫へ変更可能です。
---
### 2. 2つの手法の比較:どちらが良いのか?
| 比較項目 | **外部サイト検索** | **BOM TOOLフロー** |
| --- | --- | --- |
| **主なメリット** | 「**Basic」を狙い撃ち**して設計できるため、コスト管理が完璧になる。 | **一括で自動マッチング**されるため、個別に品番を探す手間が省ける。 |
| **向いている場面** | 新規設計。最初から安く作りたい時。 | 設計済みの基板をJLCPCBで実装したい時。 |
| **弱点** | 部品ごとに検索・コピーの手間がある。 | 精度が完璧ではない。AIが勝手に「Extended」を選ぶことがある。 |
---
### 3. 実務的なベストプラクティス
以下の組み合わせが「**最強**」です。
1. **BOM TOOLで下書きを作る**
* まずCSVを投げて、JLCPCB側に「おすすめ(Cxxxx)」を選ばせる。
2. **結果を見て「Basic」に微調整する**
* BOM TOOL上でExtendedになっているものを、手動でBasicに変更する。
3. **LCSC番号をKiCadに連れて帰る**
* 決定したCxxxx番号をメモ(またはBOMをDL)し、KiCad側の **JLCPCB Tools(プラグイン)** でAssignする。
4. **Export to Schematic で確定**
* 最後に回路図に書き戻して完了。
---
### 4. まとめ:実務的なベストプラクティス
最も効率的でミスのないワークフローは以下の通りです。
1. **部品選定は「外(LCSCサイト)」でやる。**
2. **確定したLCSC番号を、KiCadの回路図シンボルのフィールド(LCSCプロパティ等)に直接書き込んでおく。**
3. **JLCPCB Toolsは「最終確認」と「データ書き出し」のためだけに使う。**
---
### 💡 結論
「**とりあえずJLCPCBに在庫がある部品で埋めたい**」なら今回のBOM TOOL法が圧倒的に早いです。
一方で、BOM TOOLは「似たようなフットプリント」を誤認することがあるため、**最終的なLCSC番号の固定は KiCad のプラグイン(JLCPCB Tools)で行い、Export to Schematic で回路図に刻印する**という手順を踏むのが、最も安全な着地点となります。
---
## 🛠 プランC:Assign LCSC number を使う
* **手順:** Value/NameからJLCPCB Toolsで検索する
* **メリット:** 外部ツールへの遷移がないため高速。
## 関連リンク